私にとって唯一の「ねこ」様

今週のお題「ねこ」

 

 

私の知っている「ねこ」はあなたの知っている「ねこ」と同じなのでしょうか。

 

生き物。うちの子はメスだった。目、口、鼻、耳がある。四足歩行で尻尾がある。ヒゲが生えている。鼻は少し赤くてぺっちゃんこ、湿り気がある。全身真っ白な長い毛。手のひらはぷにっとしていて灰色?黒色?、かっこいい爪が潜んでいる。能ある鷹は爪を隠す。うちの「ねこ」様も爪を隠す。目は宇宙から見た地球のような色。耳はピンと立っている。顎の下を撫でると、目を瞑り、口が真横にむい〜んとなる。頭のてっぺんから背中のほうに少し下ったところを揉むと満更でもなさそう。「ねこ」様も凝るんだな、肩。ひょいっと身軽で、タンスの上、テレビの裏、ソファーの下にいる。暗いところも平気。「ねこ」様の辞書に「閉所恐怖症」の文字はない。棒と筒は駄目。サランラップの芯に容赦ない。カリカリよりも缶々。缶々原理主義猫。かつおは削った節でいい〜((八代亜紀)。一日中寝起き。ご機嫌な日もある。「吾輩は膝枕も吝かではない」「なでなでも吝かではない」、そういう日。見えない虫を追いかける。追いかける時は全力で。結果なんて気にしない。今を生きた者が勝つ。玄関までは鉄砲玉、外に出るなり地蔵様。「ね〜こはコタツで丸くなる〜」は本当。身だしなみとエチケットは大切なのよ、と「ねこ」様。爪のお手入れも欠かせないわ、と語る背中はソファーの横に。お腹と背中と尻尾は弱いの、と伝える顔は鬼瓦。お天道様とはマブダチ。「〜〜様」同士、気が合うみたいでなにより。そもそもそんなに鳴かない。缶々の蓋を開けた途端、猛烈に鳴く。猛烈に駆けてくる。ねこまっしぐら。素直でよろしい。そこが良い。たまにお母さんが懐かしくて、両手が勝手にふみふみしてる。素直でよろしい。そこが良い。飼われてるんじゃない、育てさせてあげてんだ。側にいてあげてんだ。何を隠そう「ねこ」様だから。"様"だ、"様"! 素直でよろしい。そこが良い。ただいるだけ。いてくれるだけ。それで良い。それだけで良い。それが「ねこ」様。

 

 

うちに初めてやったきた日、玄関から続く廊下に「ねこ」様を恐る恐るちょこんと置いてみた。まだ生後数週間、肩に乗せられるくらいの小ささ。いわゆる「こねこ」。あっち見てこっち見て、鼻をクンクン、ちょっと進んでは止まり、クンクン、10mほどの廊下を歩き切るのに10分以上。全てが不思議で愛おしい。廊下と居間との間には3cmほどの段差があって、「ねこ」様、段差のところで両手をもじもじさせている。なんと段差を越えられないのだ。衝撃。可愛すぎる。家族のみんなソワソワしてる。みんな何故か立っている。面白い。夜、初めてカリカリをあげた。カリカリをカリカリッと食べる姿が可愛い。食べ終えると毛繕いをして寝た。「ねこ」様は寝るのが仕事みたいなものと聞いてはいたけど、カリカリを食べて本当にすぐ寝た。あまりにもすぐ寝たので、まさか死んだのか?と。ネギトロ丼を食べながら、発射直後のペットボトルロケットの如く猛烈な勢いで募っていく不安。これを俗に「杞憂」と言う。こねこの成長は実に速い。1週間で倍くらいの大きさになった(気がする)。ちゃんと栄養が行き渡っているのが分かり一安心。お世話できているという満足感。ちゃんと成長するの可愛い。でも反抗期は来る。いや、ついに本性を現したと言うべきか。こねこは猫を被っている。猫を被る「ねこ」様。被った猫を脱いでも「ねこ」。うん、可愛い。こいつなら本当の私を見せても大丈夫だと、それくらいには気の置けない仲だと。嬉しい。可愛い。ちょこんとお座りしている「ねこ」様に右手を差し出すと、ちゃんと手をのせてくれる。そう、お手ができる。3秒後には人差し指に噛み跡が付いている。お怒りの「ねこ」様も可愛い。逆鱗に触れても、命までは取らない。慈悲深い。そして、立派な大人に育った「ねこ」様、心はいつまでも若い。長めの紐にセロハンテープでピンポン球引っ付けて、目の前に差し出せば、「ねこ」様ホイホイ。ちょろい。本能には永遠に従順なの可愛い。

 

 

真っ白で高貴な寝姿、愛くるしいお顔、とぼけた行動、男勝りな走り方...

うちの「ねこ」様、元気にやってるかな...

 

「幸せだったニャ〜」

 

なんて言ってるわけないか。 

 

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